【1分でわかる】ケーブルの種類・用途・使い分け
:2022年02月16日
:2023年05月23日
ケーブルにはさまざまな種類があります。
固定させて使うものや、移動させて使うもの、通信や防災に特化したものなど、種類が多くて使い分けが難しいように思いますよね。
どれも似たように見えるケーブルですが、場所や状況に応じて正しいケーブルを使わなければ、思わぬ事故を招く恐れもあります。
そのため、使用用途によってきちんと使い分けが必要です。
今回の記事では、そんな混同しやすいケーブルの特徴や種類をご紹介していきます。
ケーブルを正しく安全に使用するために、ぜひ参考にしてみてくださいね!
ケーブルとは?
ケーブルとは、電気絶縁物で覆った電線(導体)です。
1本の線のように見えるケーブルですが、何本もの電線によって構成されています。
一番外側は、外皮(シース)によってさらに保護されており、安全性と耐久性に優れています。
そのため、強度が高く、柱や壁・天井の中を通して建物内でも通線が可能です。
ケーブルには電圧や許容電流などの性能の差や、電話・有線放送の通信用など、さまざまな種類があります。
使い方や場所を間違うと思わぬ事故に通じることもあるので注意が必要です。
また、性能が高いケーブルほどコストが高くなります。
ケーブルは消耗品でもあるので、使い続ければ劣化することもあり交換が必要になるともあります。
きちんとケーブルを使い分けることは、性能を十分に発揮させるだけでなく、コストの削減も期待できますよ!
ケーブルの種類とは?
ここからは、具体的なケーブルの種類を紹介していきます。
種類がたくさんあるので、ここでは
- 電力ケーブル
- コード
- 各種電線
- 通信・制御・防災ケーブル
の4つに大きく分けて、代表的なものを解説します。
また、今回紹介するケーブルの種類と特徴の早見表を下記に記載しておくので、あわせて参考にしてください。
電力ケーブル
CVDケーブル | CVケーブル2本をよりあわせたケーブル |
CVTケーブル | CVケーブルを3本よりあわせたケーブル |
CVQケーブル | CVケーブルを4本よりあわせたケーブル |
VCTケーブル | 交流600V以下、直流750V以下の電圧で使用されるケーブル |
コード
VCTFケーブル | 導体をビニル絶縁体で覆い、外側をビニルシースで覆ったケーブル |
電線
IV電線 | 600V以下の屋内配線や配電盤の配線に広く利用されている電線 |
VVFケーブル | 600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形の外側をビニルシースで覆った単純な構造のケーブル |
VVRケーブル | VVFケーブルと同様のケーブルで、形状が丸形 |
EM-EEFケーブル | VVFケーブルをエコケーブルとして改良したケーブル |
KIP電線 | 高圧電線路に用いられる電線のひとつで、キュービクル式受変電設備の配電盤内配線として利用される |
通信・制御・防災ケーブル
CVVケーブル | 導体がビニルなどの絶縁体で巻かれ、さらにビニルシースなどで覆われた制御用ケーブル |
CPEVケーブル | 市内電話回線や通信制御線として使用されるケーブル |
FPケーブル | 耐火性能をもった電力用のケーブル |
FPCケーブル | FPケーブルと同様耐火性能をもったケーブルで、電線管に入れて使用する |
光ファイバーケーブル | 非常に細く繊維状に作られた、大容量の光(情報)を通す伝送ケーブル |
ロボットケーブル | 産業用ロボットのアーム配線や、ケーブルベア配線などに使用するために作られた可動用のケーブル |
UTPケーブル | シールド処理=ノイズ遮断の処理がされていないケーブル |
STPケーブル | シールド処理のされているケーブル |
同軸ケーブル | 電気通信に使われる被覆電線 |
HPケーブル | 耐熱性のある消防用のケーブル |
CCPケーブル | 電話用の配線として使用されるケーブル |
AEケーブル | 警報用の信号供給ケーブル |
それでは下記から、それぞれのケーブルごとに詳しく紹介を進めていきます。
電力ケーブル
CVケーブル(CVDケーブル・CVTケーブル・CVQケーブル)
CVケーブルとは、導体のまわりに絶縁体である架橋ポリエチレンが施され、銅テープやビニルシースなどで覆われた構造のケーブルです。
電力用のケーブルとして広く普及しており、住宅や商業施設、工場や病院などのさまざまな規模の施設で使用されています。
軽くて扱いやすいうえに、最高許容温度が90度と耐久性も高く、長期の使用にも向いています。
CVケーブルをより合わせたものが、CVDケーブル・CVTケーブル・CVQケーブルです。
CVケーブルを2本より合わせたのがCVDケーブル、3本より合わせたのがCVTケーブル、4本より合わせたのがCVQケーブルとなります。
より合わせた本数が多いほど、施工性が向上したり、許容電流値が高くなりますが、放熱性能は低くなります。
VCTケーブル
VCTケーブルは、交流600V以下、直流750V以下の電圧で使用されるケーブルです。
キャブタイヤケーブルとも呼ばれます。
柔軟性が高く耐水性にも優れており、建物内などに固定しない移動用のケーブルとしてよく使われます。
例えば、エレベーターなどのように上下移動を伴う電気機器には、頻繁に利用されるケーブルです。
それ以外にも、小型の発電機や溶接機などの電気機器にも使用されます。
コード
VCTFケーブル
VCTFケーブルは、導体をビニル絶縁体で覆い、外側をビニルシースで覆ったケーブルです。
耐水性・耐油性が高く、溶接機の配線など工事現場でよく使用されたり、自動化用機器(FA)の配線にも使用されます。
VCTケーブルとVCTFケーブルの違いは、使用できる電圧です。
VCTケーブルが交流600V以下で、VCTFケーブルは交流300V以下の電圧で使われます。
各種電線
IV電線
IV電線は、ビニル絶縁電線のことをいい、600V以下の屋内配線や配電盤の配線に広く利用されている電線です。
照明器具やコンセントへの渡り線など、一般家庭でもよく見られます。
外皮がないので、建物内を入り組んだような配線や、電線が損傷しやすい場所には使用できません。
損傷を防ぐために、IV電線を外皮で保護したVVFケーブルを代わりに利用することも可能です。
VVFケーブル
VVFケーブルは、「600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形」の、ビニル被膜の外側をビニルシースで覆った単純な構造のケーブルです。
一般住宅や、商業施設・公共施設などの低圧屋内の配線として、広く一般的に使用されています。
特に、15Aまでの照明やコンセント回路の電源供給用ケーブルとしてよく使われます。
2心・3心・4心の3種類があり、2心と3心を配線工事によって使い分けます。
VVRケーブル
VVRケーブルは、VVFケーブルと同様の「600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル」ですが、ケーブルの形状が丸形です。
VVRケーブルも、低圧屋内の配線でよく使用されています。
太さは太いものから細いものまであり、150sqなどの大きな径のものもあります。
EM-EEFケーブル
EM-EEFケーブルは、VVFケーブルをエコケーブルとして改良したケーブルです。
電線やケーブルを廃棄処理する際に発生するハロゲンガスやダイオキシンを抑えるため、ポリエチレンなどの素材を使用して発煙が少なくなるように作られています。
その一方ケーブル自体の柔軟性が悪いので施工が難しくなりますし、価格も高価です。
KIP電線
KIP電線は、高圧電線路に用いられる電線のひとつで、キュービクル式受変電設備の配電盤内配線として利用されています。
KIP電線は、絶縁体を覆う被膜が存在しない絶縁電線なので、ケーブルとしては使用できません。
柔軟性があり、耐熱性がとても高いので、高温になりやすい配電盤内の配線などにも向いています。
ただ、ガソリンやベンゼン・鉱油・有機酸を含む溶剤に対しては耐性が低いので、使用場所には注意が必要です。
通信・制御・防災ケーブル
CVVケーブル・CPEVケーブル
CVVケーブルとは、導体がビニルなどの絶縁体で巻かれ、さらにビニルシースなどで覆われた制御用ケーブルです。
工場や発変電所などの制御回路に使用される、信号伝送用に使われます。
制御用ケーブルとして、エアコンの信号線や自動制御配線、計測機器配線などによく使用されます。
多心ケーブルなので、2心から最大30心近くまで、さまざまな種類があります。
対候性は低く、原則屋内で使用されます。
屋外で使用する場合は、太陽光の紫外線によって外皮であるシースが劣化してしまいます。
劣化を避けるためには、ケーブル自体を電線管に収容して使用すれば、ある程度は防ぐことができます。
CPEVケーブルは、とくに市内電話回線や通信制御線として使用されます。
1~200対までの種類があるので、使用用途や配線する規模に合わせて選べます。
FPケーブル・FPCケーブル
FPケーブルとは、耐火性能をもった電力用のケーブルです。
主に防災用機器の電源供給や消防設備の非常電源回路など、万一の火災にも耐えるための機器や設備に使用されています。
電線管にいれることはできません。
FPCケーブルは、FPケーブルと同様耐火性能をもったケーブルで、電線管に入れて使用します。
消失する可能性を考えて製造されているこのFPケーブル・FPCケーブルは、燃えても有害物質のでにくい素材が使用されているエコケーブルもあります。
光ファイバケーブル
光ファイバーケーブルとは、非常に細く繊維状に作られた、大容量の光(情報)を通す伝送ケーブルです。
一般家庭にも馴染みのある、インターネット回線用のケーブルです。
光ファイバーケーブルを使ったネット通信は、インターネット上の動画や音楽などのデータをレーザー光に変換し、その光が光ファイバーケーブルを通ったのち再びデータに戻されてから、パソコンやスマホなどのデバイスに送られるという仕組みです。
高速通信が可能・伝送損失が少ない・IP電話や光電話の併用で電話回線の必要がなくなる(費用を節約できる)などのメリットがあります。
ロボットケーブル
ロボットケーブルとは、産業用ロボットのアーム配線や、ケーブルベア配線などに使用するために作られた可動用のケーブルです。
産業用ロボットは、アームで物をつかんで移動をさせるという作業を繰り返すため、ケーブルもそれに対応できる耐屈曲性がある必要があります。
そのため、ロボットケーブルは耐屈曲性のほかにも耐油性・耐薬品性・難焼性などに優れたものも作られています。
高性能なので、価格も高くなります。
UTPケーブル・STPケーブル
UTPケーブルとは、シールド処理=ノイズ遮断の処理がされていないケーブルです。
一般的に家庭やオフィスで使われるLANケーブルは、このUTPケーブルを指しています。
シールド処理をすればノイズにも耐えられるようになり、通信速度が上がったり、通信が安定します。
ただ、多数のデータがやり取りされたり、ネットワーク機器の多い環境でなければ、通常はシールドの処理がされているケーブルは必要になりません。
そのため、価格がSTPケーブルよりも安価なこともあり、UTPケーブルは広く普及しています。
STPケーブルは、シールド処理のされているケーブルです。
シールド処理により、UTPよりもさらに電磁波やノイズに強いケーブルとなっています。
データセンターやADSL環境などでは、STPケーブルが使用されることが多いです。
同軸ケーブル
同軸ケーブルは、電気通信に使われる被覆電線です。
導体のまわりに発砲ポリエチレンの絶縁体、そのまわりに外部導体、さらに外部被覆で覆われた4層構造のケーブルとなります。
高周波の製品に使用され、外部への電磁波漏れが少なく、柔軟性があるという特徴があります。
HPケーブル
(引用:富士電線株式会社)
HPケーブルは、耐熱性のある消防用のケーブルです。
火災の発生を知らせるR型感知器の配線や、非常放送のスピーカーの信号線に使用されます。
耐熱性が高く、導体は絶縁体で覆われ、さらに外側は耐熱性のシースが施された構造です。
火災が発生しても脱線せずに、電気供給を行うことができます。
CCPケーブル
(引用:富士電線株式会社)
CCPケーブルは、電話用の配線として使用されるケーブルです。
接続する際の作業性を考えて、CCPケーブルは全線心色がつけられており、簡単に識別できるようになっています。
電話の加入者と市内電話局の間に接続される幹線で、電話の回数が多い場合に特に適しています。
AEケーブル
AEケーブルは、警報用の信号供給ケーブルです。
商業施設で迷子のアナウンスなどに使用されたり、自動火災報知設備の感知器などに使用されます。
防災関係の設備には頻繁に利用されますが、耐熱性はないので非常放送設備には採用されません。
非常放送設備では、耐熱性のあるHPケーブルが使われます。
まとめ
いかがでしたか?
今回の記事では、混同しやすいケーブルの特徴や種類をご紹介させていただきました。
ご紹介したようにケーブルにはさまざまな種類があり、それぞれ必要な状況に応じて細かく製造がされています。
ケーブルを使う時には、利用目的や環境をきちんと確認してから使用するようにしましょう。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!
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