【大工道具】錐(キリ)・千枚通しの種類、選び方、使い方を解説

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数ある大工道具の中でも、錐(キリ)を使ったことがある方は多いのではないでしょうか。

今でこそ電動ドリルが普及していますが、手軽な道具として、その利便性は失われていません。

実際、作業によっては、電動工具ではなくキリを使った方が効率的な場合もあります。

今回は、そんな錐(キリ)について詳しく解説します。キリの使い方や種類、さらに100均で買えるキリの情報もまとめました。

「キリと千枚通しの違いって?」
「キリにはどんな種類があるの?」
「100均のキリって使えるの?」

そんな疑問に答えています。ぜひ最後までお読みください。

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キリってどんな道具?


錐(キリ)とは、木材に手で穴をあけるための道具です。先端をとがらせた鉄に持ち手がついており、手でもむように回転させて穴をあけます、

キリが活躍する場面としては、以下のような例が挙げられます。

  • 木材に下穴をあける
  • 塩ビ板やプラスチックに穴をあける
  • ダボ穴や埋め木穴をあける

キリの主な目的は、釘やネジを打つときの下穴あけです。「下穴って何?」という方に向けて、もう少し説明しておきましょう。

まずは基本の下穴あけに

木材に釘やネジを打つときは、基本的に下穴をあけてから作業します。

下穴をあけずに釘やネジを打ち込むと、曲がって入ってしまったり、木が割れてしまったりすることがあり面倒です。

もちろん、扱う材木によっては下穴が要らない場合もありますし、熟練した職人は下穴をあけずに作業することもあります。

とはいえ、一般の方が正確に釘やネジを打つためには、丁寧に下穴をあけておくことが大切です。失敗したら修正ができない作業なので、手間を惜しまずに下穴をあけましょう。

上級者はダボ穴や埋め木穴に

ダボとは、木材を組むとき、接合部に用いる木の棒のことです。ダボを同じ大きさの穴に差し込む(ダボ継ぎ)ことで、ビスを使わずに全体の強度が保てます。

「埋め木」とは、同じく木材を組むときにビスを隠すための処理です。あらかじめ穴を大きめにあけてからビスを打ち、その上に別の木を継ぎ足して穴埋めします。

「ダボ」も「埋め木」も、木工の仕上がりに大きく影響する技術です。多くの場合は電動ドリルが使われますが、ちょっとした仕上げ程度ならキリも活躍してくれます。

錐の歴史はいつから?

(引用:日本大百科全書

「穴をあける」道具の歴史は古く、その始まりは旧石器時代にまでさかのぼります。

日本では縄文時代、木や石に穴をあけるための道具として「石錐」が使われていました。

石錐は黒曜石や石英などガラス質の岩石をとがらせて作られたもので、指で回しやすいように持ち手の部分が扁平しています。

穿孔具(穴をあける道具)としては最初期のもので、後のキリにつながる大発明でした。

なお、両手で扱うキリは「揉錐」(もみきり)と呼ばれます。日本ではこの揉錐が独自の発展を遂げており、長い時間をかけてさまざまな種類が誕生しました。

(引用:竹中大工道具館

一方、千枚通しのように片手で使うものは「手錐」と呼ばれています。世界的に普及したのは手錐の方です。

手錐はやがてハンドルの付いた「器械錐」へと進化していきます。日本ではほとんど知られませんでしたが、ハンドル錐やボールト錐のように、西洋特有の工具も少なくありません。

日本が器械錐に触れたのは、明治の時代に入ってからのこと。洋風建築の輸入とともに、そのための道具も広まりました。

やがて器械錐は複雑な電気ドリルに進化し、現在へと至ります。

千枚通しとの違いは?


キリとよく似た工具に、千枚通しがあります。千枚通しは「目打ち」とも呼ばれ、主に紙や布に穴をあけるための文房具(もしくは裁縫道具)です。

キリと千枚通しの違いは、先端の形状にあります。キリの先端は三角や四角などの角錐になっており、ドリルのように木材を削ります。

一方、千枚通しはあくまでも紙や布に突き刺す道具のため、先端は単に細く尖っています。用途としては、綴じ紐や糸を通す穴をあけたり、裁縫で生地の角を整えたりするためのものです。

ちなみに、板前さんが鰻や穴子をさばくとき、魚をまな板に固定するために使われる道具も目打ちと呼びます。

キリの種類や選び方は?

(引用:デジタル大辞泉

キリは、先端の形状によって複数の種類に分けられます。

それぞれ目的が異なっているため、特徴を覚えておくとDIYの幅が広がりますよ。

主なキリの種類は、

  • 三つ目錐
  • 四ツ目錐
  • ツボ錐
  • ネズミ歯錐

の4つです。順番に見ていきましょう。

三つ目錐


断面が三角形のキリです。主にネジの下穴をあけるために使われます。

画像のように鋭い形状のほか、抵抗を減らすために側面がくびれている形状のものもあります。

四つ目錐
断面が四角形のキリです。三つ目錐よりも細く小さな穴があくことが特徴で、主に釘の下穴をあけるために使われます。

また、細身な特性を活かし、貫通穴をあけるときにも最適です。

ツボ錐


刃先が半円状のキリです。ダボ穴や埋め木穴など、円筒状の穴をあけるときに使われます。

穴の外周だけを削っていくことから、あまり堅い木には向きません。杉やヒノキなど、比較的やわらかい木に適したタイプです。

少しコツが必要ですが、半円の刃を正確な位置にあてることで、木をきれいにくり抜けます。使いこなせるようになると作業の幅がぐっと広がるはずです。

ネズミ歯錐


先端が三叉に尖ったキリです。ツボ錐と同様に、ダボ穴や埋め木穴をあける際に用いられます。

ツボ錐と違って穴をえぐるように削り出すため、堅い木や竹、プラスチックに適しています。

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キリの使い方は?

ここからは、キリの具体的な使い方を解説します。

【STEP1】準備

穴をあける前準備として、キリが板を突き抜けてもいいように、下に要らない木材(捨て板)を敷いておくと安心です。

このとき、木が動いてしまう場合は、クランプなどを使ってしっかりと固定してください。固定器具がない場合は、濡れ雑巾の上に置くだけでも格段に作業がしやすくなります。

【STEP2】キリを刺す

準備ができたら、穴をあけたい箇所にキリの先端を突き刺します。

このとき、キリを垂直に立てるように意識してください。斜めに刺してしまうと、きれいに穴があけられないばかりか、キリの先端が破損する原因となります。

【STEP3】穴をあけていく

両手の手のひらをこすり合わせるようにして、キリの柄を回転させます。初めのうちは小さく、徐々に大きく回転させるのがコツです。

【STEP4】キリを抜く

望み通りの穴があいたら、キリを木から抜きます。奥まで深く刺さっているときは、キリが顔めがけて飛んでこないようにゆっくり抜きましょう。

一錐、二鉋、三釿

一見するとシンプルな道具に思えますが、キリを上手く使いこなすためには相応の技術が必要です。

大工のあいだでは、昔から「一錐、二鉋、三釿」という言葉が伝わっています。

これは大工道具の中でも、錐(キリ)・鉋(カンナ)・釿(チョウナ)の3つが特に高い技術を要するという意味です。
キリで正確に穴をあけることが、いかに難しいのかが分かります。

キリは100均で十分?!

一般的なキリの値段は、ホームセンターで1,000円前後です。Amazonなどのネットショップでは、500円ほどの安い商品も見受けられます。

さらに費用を抑えたい方は、100円ショップで購入することも可能です。

ただ、中には「100均のキリを使って大丈夫?」と思われる方もいるかもしれません。

結論からいえば、100均のキリでも問題なく穴はあけられます。

参考として、ダイソーとセリアで販売されているキリの情報をまとめました(店舗によっては販売されていないケースもあります)。

ダイソーの三つ目錐

(引用:DAISO

ダイソーではオーソドックスな三つ目錐を販売しています。

見た目はいたって普通のキリで、柄の長さも十分。DIYでの活躍が期待できます。

また、上記のほか「安全きり&ドライバー」という商品も販売されています。

キリとドライバーが一体となっており、先端部は差し替え式。柄はプラスチック製で、初心者でも安全に扱えるよう設計されています。

こちらの動画ではダイソーの「安全きり&ドライバー」が紹介されています。気になる方は参考にしてみてください。

セリアの四つ目錐

(引用:Seria

セリアは四つ目錐を販売しています。

柄が長いタイプと短いタイプの2種類が確認されています(参考:LIFESTYLE DIYER)。

ちなみにセリアでは、キリの他に曲尺やクランプなど、木工用の道具が豊富にラインナップされています。

これから木工DIYを始める方は、ほとんどの工具が100円で揃えられるでしょう。

調査したところ、100均のキリに関して特に悪い評判は見られませんでした。

仕事で急にキリが必要になったときでも、十分に対応できる性能です。

ただし、耐久性を求める方には向きません。2~3回使ったくらいでは問題ありませんが、長く使用していると先端が摩耗したり曲がったりする可能性があります。

本格的にDIYを始めたい方は、もう少しお金を出して上質のキリを購入した方がいいでしょう。

高級といっても、1,500円も出せば申し分ない性能のキリが購入できます。けっして高い買い物ではないため、木工作業をする方は揃えておくことをおすすめします。

まとめ

今回は大工道具のひとつ、錐(キリ)について解説しました。

キリは近くの100均やホームセンターで安く買える上に、DIY初心者でも扱いやすい道具です。

すでに電動ドリルを持っている方も、ちょっとした作業に備えて道具箱に入れておくといいでしょう。

中古工具専門店「アクトツール」のコラムでは、錐のほかにもさまざまな工具を紹介しています。伝統の手工具から最新の電動工具まで、知って得する情報が満載です。

興味を持った方は、ぜひ他の記事もご覧ください。

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