【徹底比較】インパクトドライバー とドリルドライバーの違いとは?
- サルトくん
2021.07.28 2023.12.22
よく似た工具である、インパクトドライバーとドリルドライバー。
見た目も使用方法もよく似ている2つの電動工具ですが、作業内容によって使い分ける必要があります。
使用方法を間違えば打ち付ける素材を傷つけたり、ビット部分を折るなどのトラブルが起こる可能性も。
今回の記事では混同しやすいインパクトドライバーとドリルドライバーの基本的な違いを徹底解説します。
オススメの機種の紹介もするので、どちらを購入すべきか迷っている方は必見です!
目次
インパクトドライバーとドリルドライバーの違い
まず見た目を比べてみましょう。
△インパクトドライバー
△ドリルドライバー
あえて異なるメーカーの「インパクトドライバー」と「ドリルドライバー」の画像を使用しましたが、よく似た形をしていることがわかります。
簡単にいうと?
インパクトドライバーとドリルドライバーの主な違いは3つあります。
- チャック
- スピードコントロール
- トルク調整部
チャックの形状
チャックとは、ドライバーの先端にビットを取り付ける部分です。
インパクトドライバーの場合は、チャックの外側をつまんでロックをはずして、ビットを入れたらまた戻すという構造になっています。
ドリルドライバーの場合は、チャックの大きさが細かく調節できるタイプが多く、丸軸や六角軸などさまざまなビットに対応できます。
スピードコントロール
インパクトドライバーは基本的には回転スピードを変えられる機能はついていません。
一定の回転と、一定の打撃が加えられるような構造になっています。
一方ドリルドライバーには回転スピードの切り替え機能がついています。
具体的には低速と高速のように、用途によって回転スピードを変えて作業をすることが可能です。
トルク調整部
トルクとは、ねじやボルトを締め付けるための強さのことをいいます。
インパクトドライバーはトルクを調整する機能がついていません。
ドリルドライバーは、トルクの調節ができるリングがついており、用途に応じてトルクを変更できます。
以上の3つの点が、インパクトドライバーとドリルドライバーの主な違いです。
さらに詳しく、それぞれの違いを以下の章で見ていきましょう。
そもそもインパクトドライバーとは?
インパクトドライバーとは、回転と打撃の両方の機能を兼ね備えた電動ドライバーです。
特徴はとにかく強いそのパワーです!
すでに穴の開いているところへのネジ締めだけでなく、穴のない場所でもビス留めができます。
パワーが必要な作業に向いており、強力な締め付けができるのですばやく作業をすることができますが、うまくコントロールするには慣れが必要です。
とくに、建設現場などでは長いビスを何十本も打つ機会があるので、インパクトドライバーは必須の電動工具のひとつになります。
向いている作業
- 長い/大きいネジ締め
- 堅い素材へのネジ締め
- ボルト締め
- 大型家具の組み立て
- 内装作業
代表的な商品
こちらはマキタのTD172DRGXインパクトドライバーです。
最大締付けトルク180N・mというパワフルさを備えながら、作業性を追求したスリム&ショートボディが特徴です。
「木材モード」「ボルトモード」「厚板テクスモード」「薄板テクスモード」の4つのモードが搭載されており、より多くの作業のアシストをしてくれます。
製品型番 | TD172DRGX |
電圧 | 18V |
容量 | 6.0Ah |
最大締付けトルク | 180N・m |
回転数 | 0~3,600(回転/分) |
質量 | 4.37kg |
こちらはハイコーキのWH36DCインパクトドライバーです。
業界最速・最短・最軽量クラスのインパクトドライバーで、最大トルクは200N・m。
最適なトルクでビットやビスの破断を抑制します。
アンビルと軸受けの精度を向上させることにより、ビット振れを低減かつしっかり保持してくれるので、ビットへのパワー伝達が向上させています。
製品型番 | WH36DC(2XP) |
電圧 | 36V |
容量 | 2.5Ah |
最大締付けトルク | 200N・m |
回転数 | 0~3,700(回転/分) |
質量 | 1.59kg |
ドリルドライバーとは?
ドリルドライバーは、ネジ締めや穴あけをするために使われる電動ドライバーです。
右回転と左回転の回転のみの機能があり、先端のビットを替えればドリルとしても使用できます。
ドリルドライバーはインパクトドライバーと比べるとより繊細な作業に向いており、初心者でも扱いやすい工具です。
DIYや家具の組み立ての際にネジ締めの数が多いとかなりしんどい作業になってくるので、ドリルドライバーがひとつあると頼りになります!
向いている作業
- 繊細な穴あけ作業
- ねじ(小~大)締め
- 組み立て家具の設営
代表的な商品
こちらはマキタのDF487Dドリルドライバーです。
小型ボディに十分なパワーを兼ね備えており、速度切り替えレバーを使ってクラッチは20段階に切り替え可能です。
化粧材やコンクリートの下穴開けなどに向いています。
製品型番 | DF487D |
電圧 | 18V |
容量 | 1.5Ah |
最大締付けトルク | 40N・m |
回転数 | 0~1,700(回転/分) |
質量 | 1.6kg |
こちらはハイコーキのDS36DAドリルドライバーです。
穴あけ能力は鋼材で16mm、アルミで16mm、木材で102mmなど、コンパクトなボディながらパワーがあります。
従来のモデルより大幅に作業量が拡大され、さらに使い勝手がよくなりました。
二層成形の大形クラッチダイヤル採用により、見やすい文字盤と握りやすいダイヤル形状で高い操作性を発揮します。
製品型番 | DS36DA |
電圧 | 36V |
容量 | 2.5Ah |
最大締付けトルク | (低速)138N・m、(高速)80N・m |
回転数 | 0~2,100(回転/分) |
質量 | 2.4kg |
インパクトドライバーとドリルドライバーは兼用できる?
似たようで違うインパクトドライバーとドリルドライバー。
どちらもとても便利な工具ですよね!
2つの兼用ができれば1つだけ購入すればいいのでお財布に優しいように見えますが、果たして兼用はできるのでしょうか。
兼用できる?
結論からいうと、どちらの電動ドライバーにも向いている作業・向いていない作業があり、作業内容によっては兼用が難しいです。
例えば、長いネジや堅い素材へのネジ締めは、ドリルドライバーではパワーが足りなくなることが予想されます。
無理に打ち付ければ、思わず曲がってしまったり、ビットやドリルが折れてしまうこともあります。
一方インパクトドライバーの場合は、パワーが強いので繊細な作業には向いていません。
慎重に使うことによって短いネジなどのネジ締めもできなくはないですが、トルク調整ができないのでかなり扱いづらくなります。
薄い板材やプラスチック版に穴を開ける際には、誤って素材を割ってしまうということもありえます。
どちらの機能も一台で揃えられれば楽かとは思いますが、実際DIYレベルの家具の組み立てや棚の取り付けには、インパクトドライバーほどのパワーがいらないケースも多いです。
逆に大がかりなDIYやリフォームなどをする際には、インパクトドライバーが必要になります。
実際に「なんの作業に使いたいのか」「そのためにはどんな能力を備えた電動ドライバーが必要なのか」を事前によく考えた上で、ご自身にあった電動ドライバーを選択するようにしましょう。
そんな兼用が難しいインパクトドライバーとドリルドライバーですが、実はどちらの機能も有した兼用モデルもいくつか存在します。
兼用モデルの紹介
ここからは、代表的な兼用モデルである2機種の紹介をします。
2機種ともさまざまな機能を兼ね備えたとても便利な電動ドライバーには変わりないですが、高機能なぶん高価な商品でもあります。
2台持ち運ばなくていいというメリットがあるので、プロの方や、お仕事で電動ドライバーを利用する方にとってはとてもオススメです!
マキタ 4モード・インパクトドライバ 18V TP141DRGX
こちらは、4つの機能が1つになったマキタのインパクトドライバーTP141DRGXです。
4モード+テクス用ネジ専用モードが搭載されており、
- インパクトモード・・・回転+打撃でネジ締めに適している。用途に応じてトルクが調節できねじ締めの失敗を軽減
- 振動ドリルモード・・・コンクリートなどの堅い素材にも穴あけができる
- ドリルモード・・・回転のみの動作でドリルでの穴あけに適している
- ネジ締めモード・・・ドリルドライバーのように、クラッチによるトルク調整が可能。デリケートなネジ締めにも対応
- テクスモード・・・ドリルビス(テクス用ネジ)専用
など、便利な5つの機能を兼ね備えたハイテクな電動ドライバーです。
トルク設定は全部で18段階。
こちらの電動ドライバーがあれば、たいていの作業は可能になります。
製品型番 | TP141DRGX |
電圧 | 18V |
容量 | 6.0Ah |
最大締付けトルク | 150N・m |
回転数 | 0~1,400(回転/分) |
質量 | 1.7kg |
パナソニック EZ75A9 充電マルチインパクトドライバー 14.4V/18V
次に紹介するのは、パナソニックのマルチインパクトドライバーEZ75A9です。
14.4Vと18V両方の電池が使える「デュアルタイプ」を採用しており、金工・木工穴あけに対応。
こちらのEZ75A9は、
- インパクトモード・・・長いネジ締め、テクスネジ締め、ボルト締めに適している。
- ドリルドライバーHighモード・・・金工・木工穴あけ(最大φ21mm)や小ねじ締めに向いている。
- ドリルドライバーLowモード ・・・大径の金工穴あけ(最大φ33mm)、木工穴あけ(最大φ35mm)まで可能
マキタのTP141DRGXと重量もほぼ同じで、ビットホルダーカバーを採用しており、ビット交換もカンタンです。
製品型番 | EZ75A9 |
電圧 | 14.4V/18V |
容量 | 5.0Ah |
最大締付けトルク | インパクトモード:135N・m(18V) ドリルLowモード:28N・m(18V) |
回転数 | インパクトモード:0〜2,300(回転/分)(18V) ドリルHighモード:180〜1,200(回転/分)(18V) |
質量 | 1.9kg |
インパクトドライバーとドリルドライバーのデメリットとは?
ここからはインパクトドライバーとドリルドライバーのデメリットについて見ていきます。
インパクトドライバーのデメリット
インパクトドライバーは繊細な作業を行うのには向きません。
回転力以上のパワーで締め付けを行うため、細かいネジの締め付けは非常にむずかしいです。
また、打撃を与えながら回転をする仕組みなので、部材が割れやすいというデメリットもあります。
ドリルドライバーのデメリット
ドリルドライバーにはクラッチがついており、抵抗力が一定の基準を超えると、自動的に力を加えなくなります。
初心者の方にとっては非常に嬉しい機能ですが、ある意味設定以上に締め付けができないため、デメリットとも言えるでしょう。
結局どっちがいい?
ここまで、インパクトドライバーとドリルドライバーの違いを説明してきましたが、結局はどちらがいいのでしょうか?
どちらもとても優秀で使い勝手の良い工具なので、どちらもいいというのが結論になります。
要は、それぞれの正しい使い分けが大事になります。
インパクトドライバーにはインパクトドライバーにしかできない作業があり、圧倒的なパワーで作業効率を格段にあげてくれます。
慣れないとパワーがうまく使えなかったり、腕がすぐに疲れてしまうことがありますが、プロの建設現場では欠かせない電動工具のひとつです。
一方ドリルドライバーは穴あけやネジ締めなど、基本的に繊細な作業に向いています。
家でDIYや家具の組み立てをするために利用する際には、ドリルドライバーの機能があれば十分間に合うケースが多いです。
ネジ締めは硬いネジだったり数が多くなったりするととてもしんどい作業になるので、一家に一台ドリルドライバーがあればとても便利です。
まとめ
いかがでしたか?
今回の記事では、混同しやすいインパクトドライバーとドリルドライバーの違いについて徹底解説をさせていただきました。
見た目や使用方法はよく似ているこの2つの電動ドライバーですが、下手に利用して素材やドライバー自体を壊さないようにするためにも、作業内容によってきちんとした使い分けが必要です。
ご紹介したように兼用できるモデルも販売されていますが、かなり高価な上にDIYレベルではあまり必要としない機能も備えている可能性が高いです。
ご自身で行いたい作業内容に合わせて、適切な電動ドライバーを選ぶようにしましょう!