【基礎知識】溶接棒の種類と選ぶ方法とは!アーク溶接するのに最適な溶接棒は?

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工具のプロ  サルトくん
サルトくん 町田店
 

製造業などでは欠かせない、溶接機!
溶接機とは金属と金属を溶かして、接合する機械のことです。
金属を液体になるまで溶かし、冷まして再度固体にすることで金属同士が接合されます。

そんな溶接機に欠かせないのが、「溶接棒」です!
溶接棒にはさまざまな種類があります。

被覆アーク溶接棒って?
LB-26Vなどの型番の後についている「V」ってなんだ?

など疑問に思ったこともあるかと思います。

そもそも溶接棒とは、金属と金属を接合する際に使用する金属の棒のことです

今回は、溶接棒の基礎知識と選ぶ際のポイントなどをお伝えします!

この記事でわかること
・溶接棒の概要
・溶接棒の選ぶポイント
・溶接棒の種類

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溶接棒(被覆アーク溶接棒)って?

被覆アーク溶接棒とは、「心線と呼ばれる銅の上に被覆剤が塗り固められているもの」で、金属同士を溶接する際に使用します。
被覆材の溶融によって発生するガスやスラグで溶融金属を大気から保護して溶接金属を形成することが特長です。
また、アーク溶接は大掛かりな装置が不要で、適応範囲も広い溶接方法となっています。

心線だけで溶接を行おうとするととても難しく、また見た目も綺麗にできないので被覆剤を使用していきます。

(引用:ぼうだより 技術がいど

溶接棒を選ぶポイント

溶接棒を選ぶ際は下記2点を把握しながら、溶接環境を鑑みて被覆タイプなどで絞り込んでください!

1.母材(溶接する金属)の材質・板厚に合わせる
2.使用する溶接機の能力と溶接する板厚に合わせて棒の太さを決める

溶接棒が細いと何度も溶接する必要があります。
逆に太すぎると熱を加える時間が長くなり母材が溶けて穴が開くなどの問題が出てきてしまいます。

「大は小を兼ねる」ということにはならないので、機械と母材に合わせた最適な太さのものを選んで使いましょう!

溶接棒の種類

軟鋼用低電圧溶接棒

溶接棒 種類 ステンレス用溶接棒

薄い軟鋼の鉄板などの溶接によく使います。
名前の通り定電圧で使用可能で、家庭用の100V電源でも使用する事ができます。
ですので趣味でお使いの方は、この溶接棒を選ばれる事が多いようです。
また、さまざまな姿勢で使用できるので作業性も高い溶接棒です。

一般軟鋼用溶接棒

溶接棒 種類 ステンレス用溶接棒

軟鋼用、鉄の薄板から厚板まで幅広い用途での溶接で使用できます。
ビードの伸びもよく再度溶接を始めた時の作業がしやすいです。
こちらもさまざまな姿勢で使用でき、作業性が高いです。
軟鋼用の溶接棒としてはとても万能です。

ステンレス用溶接棒

溶接棒 種類 ステンレス用溶接棒

その名の通り基本的にステンレスを溶接する溶接棒です。
ステンレス同士・ステンレスとそれ以外の金属との溶接で、それぞれ違う物を選び使用してください。
ステンレスは熱伝導率が低く溶接時に熱が集中しやすくなるため、溶接に技術が必要となってきます。
溶接材料により、溶接棒を以下のように変更してください。

  • ステンレス同士:神戸製鋼のNC-38
  • ステンレスと鉄:神戸製鋼のNC-39

鋳物用溶接棒

溶接棒 種類 鋳物用溶接棒

その名の通り鋳鉄などの補修や溶接に使います。
鋳物は一般的な鉄とは異なる特性を持っているため、異なるアプローチが必要です。
基本的には下向溶接のみとなります。
(例)鋳物用 神戸製鋼 CI-A3 など

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被覆剤の種類

被覆アーク溶接棒は大きく4つの種類があります。

被覆剤の種類 詳細 代表銘柄
イルミナイト系
  • フラックスに約30%のイルミナイトを含む溶接棒のこと
  • イルミナイトとは、チタンと鉄の酸化物が結合した鉱物
  • アークが強く安定。集中性・安定性に優れる
  • 技量試験やコンクールなどでも使用される
B-10(神戸製鋼)
B-14(神戸製鋼)
B-17(神戸製鋼)
G-200(日鐵住金)
G-300(日鐵住金)
A-200(日鐵住金)
ライムチタニヤ系
  • フラックスに高酸化チタン約30%、
    ライム(炭酸石灰)などの塩基性物質約20%含んだ溶接棒のこと
  • アークが穏やかでスラグの流動性が良く、広い範囲で使用可能
  • イルミナイト系よりも扱いやすいが、重要な箇所への使用は注意
Z-44(神戸製鋼)
NS-03T(日鐵住金)
NS-03Hi(日鐵住金)
LC-3(ニツコー熔材)
LC-6(ニツコー熔材)
高酸化チタン系
  • フラックスに酸化チタンを約35%含んだ溶接棒のこと
  • アークの安定性が高い
  • 見た目を重視したい外装などの溶接に適している
  • 溶接した金属の機械的性質は少し劣る
B-33(神戸製鋼)
RB-26(神戸製鋼)
S-13Z(日鐵住金)
SK-100(ニツコー熔材)
低水素系
  • フラックスに炭酸カルシウムやフッ化カルシウムを多く
    配合している溶接棒のこと
  • 溶接が他の種類に比べ難しい
  • 溶接不良の発生を抑えることが可能
  • 厚板や拘束の大きな溶接に適している
LB-26(神戸製鋼)
LB-47(神戸製鋼)
LB-52(神戸製鋼)
S-16(日鉄住金)

溶接棒の種類における定番品

こちらは、工具専門店であるアクトツールの売れ行きから定番溶接棒を紹介しています!
ぜひ参考にしてください!

Z-44

溶接棒 種類 LB-44

国内シェアNo1!KOBELCO FAMILIARCの製造する溶接棒の定番ですね!
再アーク性は抜群で、ビートの伸びも良いです。
軟鋼用/フラックスはライムチテニア系
※低ヒュームで最もポピュラーな溶接棒です。
サイズは3.2mmや4.0mmが人気!
Φ2.0×300に対応しています。

B-10/B-14/B-17

溶接棒 種類 B-10/B-14/B-17

B-10は「ビーテン」などとも呼ばれてますね。
下向でスラグ被りが安定し、光沢のある美しいビートが得られます。
軟鋼用/フラックスはイルミナイト系

※アークはやや強く、溶け込みが深いのが人気!

B-14は溶接のしやすさが最も優れていると言われています。
スラグがよく被りビートの伸びが良好で、外観もきれいです。

B-17は耐割れ・耐ピット性がよくX線性能が最も優れています。
溶け込みが深く、スラグ剥離も優れており、20mm程度以下の厚板に最適です。

アクトツールではこのBシリーズが一番人気があるかもしれません!

LB-52

溶接棒 種類 LB-52

軟鋼用及び490Mpa級高張力鋼用/フラックスは低水素系
代表的な低水素系全姿勢溶接棒!
アークの集中性・スラグの剥離性・ビート外観などが良好です。

LB-47

溶接棒 種類 LB-47

(引用:溶接用品プロショップ サンテック)

軟鋼厚板/フラックスは低水素系
軟鋼を用いる造船・建築・橋梁・圧力容器などの溶接に最適です。
※JIS検定用としてよく用いられるそうです!

B-33

溶接棒 種類 B-33

あまり需要はないですが軟鋼の薄板の肉盛などで使います。
いわゆる化粧棒ってやつですね!
アークは安定し、スパッタが少なくスラグの被り・剥離性が良好です。

などなど他にも上で上げていましたLB-26V
このVというのは縦向き(VERTICAL)下進専用っていう意味です。

暗号のような型番が沢山ありますが、まずは母材と板の厚さを知る!

そこで、

「Z系が良いか?」
「 B系が良いか?」

など選んで頂きます。

つまり、機械と母材の厚さに合わせてどの太さが良いか?で選べば良いというワケです!

まとめ

いかがだったでしょうか?

溶接するものやその厚さによって溶接棒は変わってきます!
何を溶接するのかをしっかりと確認したうえで、ピッタリの溶接棒を選んでくださいね♪

アクトツールで多く扱っているのは3.2mmや4.0mm!

ホームセンターなどで売っているホビー用の溶接機は1.0mmや1.4mmでパワーも違いますのでまずは何を溶接したいかなどを確認する必要があります。

100Vで使用できる溶接機で人気なのはバッテリーウェルダーと言われる種類です。
直流バッテリーを介する事で3.2mmや4.0mmの溶接棒でもラクラク作業が出来てしまうという代物です!

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