【1分でわかる】アスベスト規制強化をわかりやすく解説!
- サルトくん
2021.12.19 2022.03.02
天然の繊維状けい酸塩鉱物で、「せきめん」「いしわた」とも呼ばれる石綿(アスベスト)。
アスベストの健康被害がニュースで話題になったのも、記憶に新しい方も多いのではないでしょうか?
アスベストは繊維がとても細かいので、研磨機や切断機などを使用して粉じんが舞うと人が吸入してしまう可能性があります。
アスベストを吸い込むと、10年から数十年後に肺がんや悪性中皮腫などの重い病気にかかる恐れがあると言われています。
解体現場などで働く際は、誤って吸入しないよう細心の注意を払わなければなりません。
今回の記事では、2021年に改めて改正・施行されたアスベストに関する新ルール「石綿障害予防規則(石綿則)」についてわかりやすく解説をしていきます。
アスベストの規制強化に関してや、具体的な改正内容をご存知ではない方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
アスベスト(石綿)の規制強化の概要
なにが変わるの?
建築物等の解体・改造・補修工事に伴うアスベストの飛散防止を徹底するために、大気汚染防止法の一部を改正する法律が2020年6月5日に公布され、2021年4月1日に施行されました。
改定概要は、以下の6つの項目となります。
- 規制対象の拡大
- 事前調査の信頼性の確保
- 直接罰の創設
- 不適切な作業の防止
- その他
- 施行期日
今回のルールの改正に伴い、より厳しい管理下の元アスベストが扱われることとなりました。
解体業の方にはルール改正は厳しいものとなりますが、労働者の健康を守るためには必要不可欠な法改正といえます。
それぞれの具体的な内容は、以下の章で触れていきます。
レベル3って?
(引用:ecoひろしま~環境情報サイト~)
従来まで、法の対象建材は
- レベル1:石綿含有吹付け材
- レベル2:石綿含有断熱材・石綿含有保温材・石綿含有耐火被覆材
の2つとなっていました。
これらの建材を使用する場合は、事前調査や立ち入り調査などを介入して安全に使用がされているか確認するための規制がありました。
今回の法改正では、上記の2つに加えて、新たに
- レベル3:その他の石綿含有建材(成形板・仕上塗材等)
が含まれることとなりました。
成形版や仕上塗材などを含めた、さらに多くの建材が規制の対象となりました。
その他の石綿含有建材は、発じん性(粉じんの発生のしやすさ)は比較的低いものの、アスベストが利用されている建材の形状や密度によってリスクが高い場合もあります。
より多くのアスベストを含む建材が対象となることにより、より安心して労働者は作業をすることができるようになります。
罰則は?
今回の法改正では、新たに罰則も含まれています。
アスベストを含む建材を扱う際に、隔離等をせずに吹付け石綿等の除去作業を行った者には、直接罰が創設されています。
こちらも、具体的な内容は以下の章で触れていきます。
アスベスト(石綿)の規制強化内容を具体的に解説!
ここからは、上記で軽く触れた具体的な規制強化内容6つを解説していきます。
改正概要
1)規制対象の拡大
(引用:ecoひろしま~環境情報サイト~)
2021年(令和3年)4月1日から、大気汚染防止法で定める特定建築材料が「吹付石綿その他の石綿を含有する建築材料」になります。
従来までは、発じん性の高いレベル1(石綿含有吹付け材)とレベル2(石綿含有断熱材・石綿含有保温材・石綿含有耐火被覆材)のみが対象となっていました。
今回の法改正によってレベル3(その他の石綿含有建材)が追加されています。
そのため、今まで規制対象となっていなかった「石綿を含有する仕上塗材を除去する作業」及び「石綿含有成形板等を除去する作業」について、新たに作業基準が規定されています。
2)事前調査の信頼性の確保
今までの規定の事前調査では、不適切な場合があったり、アスベスト建材の見落としなどが懸念となっていました。
そこで今回の法改正では、元請業者に対し、アスベスト含有建材の有無に関わらず、調査結果の都道府県等への報告が義務付けられています。
※一定規模以上等の建築物等の解体等工事の場合
また、調査方法を法定化することにより、きちんと効果のある調査が可能になりました。
調査に関する記録の作成や、保存も義務付けられます。
さらには今後2022年~2023年にかけて、都道府県への報告義務や、事前調査は有識者が行うなどさらにルールが厳しくなる予定です。
3)直接罰の創設
今回の法改正では、ルールを守らなかった業者に対しての罰則も設けられています。
アスベスト建材を扱う際に隔離等をせずに、吹付け石綿等の除去作業を行った場合は対象になります。
- 「吹付け石綿、石綿を含有する断熱材・保温材・耐火被覆材」を改正法(第18条の19)で定める方法により行わなかったとき、3か月以下の懲役又は30万円以下の罰金
- 元請業者及び自主施工者だけでなく、下請負人についても作業基準の遵守義務の対象に追加
4)不適切な作業の防止
以前まで、解体業者の不適切な作業による、アスベスト含有建材の取り残しが問題となっていました。
そこで、新しいルールとして、元請業者に対し、石綿含有建材の除去等作業の結果の発注者への報告や作業に関する記録の作成・保存が義務化されました。
請負業者は特定粉じん排出等作業の結果を遅滞なく発注者に書面で報告する必要があります。
また、請負業者は特定粉じん排出等作業の記録を作成し、その記録及び報告に使用した書面の写しを保存しなければなりません。
さらには、作業が適切に行われたことを確認するために、特定建築材料の除去の完了後は有識者による目視の確認も必要です。
5)その他
以下の2点も追加されています。
- 都道府県等による立入検査対象の拡大
- 災害時に備えた建築物等の所有者等による、石綿含有建材の使用の有無の把握を後押しする国及び地方公共団体の責務の創設等
6)施行期日
施行期日は、2021年(令和3年)4月1日です。
ただし,事前調査結果の報告などこれから新たに定められる規定もあります。
環境省の公式Youtubeでも法改正についての詳しい説明がされています。
さらに詳しく知りたい方は、ぜひ動画でもご確認ください。
時系列は?
(引用:ecoひろしま~環境情報サイト~)
今回の改正は、まだ完全に終わったわけではありません。
2020年6月5日に改正案が公布されて以降、計画的に、かつ段階的にルールが厳しくなっていきます。
2021年(令和3年)4月~
まずは2021年4月から、レベル3建材(その他の石綿含有建材)を含む、全ての石綿含有建材の除去等工事に作業基準が適用されます。
また、現行で既に作業基準が設けられているレベル1建材(石綿含有吹付け材)・レベル2建材(石綿含有断熱材・石綿含有保温材・石綿含有耐火被覆材)に関しては、基準が強化されます。
2022年(令和4年)4月~
2022年4月からは、事前調査結果の都道府県等への報告が必要となります。
2023年(令和5年)10月~
2023年10月からは、建築物の事前調査を行う者の資格要件が義務化されます。
2023年10月をもって、今回の法改正は完結をする予定です。
まとめ
いかがでしたか?
今回の記事では、アスベスト工事の法改正による規制強化について具体的に解説をしていきました。
ルールが厳しくなることによって解体業の負担は増えますが、健康が第一と考えると当然の法改正とも言えますね!
既に施行されている今回の改正では、ルールに従わないと罰則の対象にもなります。
解体現場で作業している方の健康問題にも大きくかかわる内容ですので、十分に確認をしておきましょう!