【工具屋さんが解説】フィニッシュネイラってどんな工具?
- サルトくん
2021.06.25 2021.07.09
フィニッシュネイラは、「仕上げ釘」と呼ばれる固着具を打つための工具です。
種類こそ限られていますが、各メーカーから高品質のフィニッシュネイラがいくつか販売されています。
今回は、このフィニッシュネイラを大特集。国内主要メーカー(マックス・マキタ・ハイコーキ)の現行モデルをすべてご紹介します。
フィニッシュネイラをお探し中の方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
フィニッシュネイラってどんな工具?
フィニッシュネイラは、木材に「仕上げ釘」を打ち込むための工具です。
「仕上げ釘」とは、頭が小さく細い釘(頭径1.9mm、軸径1.0~1.3mm)のこと。
板状に100本が連なる形で販売されており、フィニッシュネイラ本体のマガジンに装填して使用します。
仕上げ釘は非常に細いため、木材に打ち込んでもほとんど目立ちません。この特性を活かし、主に住宅の内装工事で活躍します。
具体的な取り付け例として挙げられるのは、以下のような部材です。
- 化粧材
- 廻り縁(天井と壁の境目に付ける部材)
- 巾木(壁と床の境目に付ける部材)
- 窓枠・ドア枠
なお、仕上げ釘には白色・茶色・ベージュなど、さまざまなカラーバリエーションがあります。
打ち込む木材の色味と合わせれば、より目立たず、美しい仕上がりにすることが可能です。
タッカー・ピンタッカーとの違い
フィニッシュネイラーと似た構造の工具として、タッカーやピンタッカーが挙げられます。
フィニッシュネイラ―、タッカー、ピンタッカーは、いずれも釘を木材に打ち込むための工具です。
ただし、この3つは使用される釘に大きな違いがあります。
工具名 | 使用する固着具 | 取り付ける部材の例 |
フィニッシュネイラ― | 【仕上げ釘】 軸径1.0~1.3mmの釘 |
・化粧材 ・廻り縁(天井と壁の境目に付ける部材) ・巾木(壁と床の境目に付ける部材) ・窓枠・ドア枠 |
タッカー | 【ステープル】 コの字型の釘 |
・防湿・気密シート ・石こうボード ・薄ベニヤ |
ピンタッカー | 【ピン釘】 軸径0.6mmほどの釘 |
・化粧材 ・廻り縁(天井と壁の境目に付ける部材) ・巾木(壁と床の境目に付ける部材) |
それぞれの特性を把握した上で、工具を適切に使い分けてください。
フィニッシュネイラーの使い方
初めてフィニッシュネイラ―を扱う方に向けて、基本の使用方法を解説します。(参考:マックス「HA-55SF2」取扱説明書)
【安全装置】
基本的に、フィニッシュネイラ―には安全装置が備わっています。安全装置は意図せず釘が発射される危険を防いでくれます。正常に機能するか事前にチェックしてください。
【STEP1】
マガジンを開け、仕上げ釘を装填します。詰まりを避けるため、隙間を作らないよう丁寧に入れましょう。
【STEP2】
トリガーのロックを解除し、釘を打ちたい場所にフィニッシュネイラ―の先端を押し当てます。先端を押し当てた状態でないと、安全装置が作動して釘が発射されません。
【STEP3】
先端を押し当てたままトリガーを引くと、釘が発射されます。続けて発射するときは、一度トリガーから指を離し、STEP2を繰り返してください。
【STEP4】
使用が終わったら、忘れずにトリガーロックをかけましょう。
フィニッシュネイラの種類とは?
現在のフィニッシュネイラは、以下の種類に分けられます。
- エア式
- 高圧タイプ
- 常圧タイプ
- 充電式
各タイプを順番に見ていきましょう。
エア式
空気圧を利用したオーソドックスな方式です。エア式は軽量でトラブルが少ないなどの利点があり、多くの大工現場で使用されています。
ただし、エア式の工具を使うためには、専用のエアコンプレッサーが必要です。一から揃えるのはコストがかかるため、導入のハードルはやや高いといえるでしょう。
なお、エア工具は高圧・常圧の2種類に分かれています。常圧タイプは常圧対応の、高圧タイプは高圧対応のエアコンプレッサーに接続しないと動作しません。
すでにエア工具をお持ちの方は、高圧と常圧を取り違えないように気をつけてください。
充電式
従来のフィニッシュネイラはエア式がほとんどを占めていました。しかし、現在は充電式のフィニッシュネイラも注目を浴びつつあります。
充電式の工具は、エアコンプレッサーを必要としないため取り回しに優れ、導入費用も抑えられる点がメリットです。
今後の製品開発が大いに期待される分野でもあり、これから購入する方は十分に検討の余地があるでしょう。
記事の後半で紹介するメーカー(マックス・マキタ・ハイコーキ)は、いずれも充電式フィニッシュネイラを販売しています。
フィニッシュネイラの人気メーカー&オススメ機種!
ここからは、フィニッシュネイラの具体的な機種を解説します。
フィニッシュネイラを手がける主な国内メーカーは、マックス・マキタ・ハイコーキの3社です。
各メーカーの特徴と、代表的な製品を見ていきましょう。
マックス
エア工具の分野では国内最大手のメーカーです。
当然フィニッシュネイラの種類も多く、エア式(常圧・高圧)および充電式のモデルを幅広く展開しています。
【エア式】
15~55mm対応のスタンダードなフィニッシュネイラです。わずか6mm幅のノーズで斜め打ちも楽々こなせます。
また、エアダスタは風量調節が可能。ホコリを吹き飛ばしたいときにも、舞い上げたくないときにも使えます。
型式 | HA-55SF2(D) |
動力 | 高圧 |
対応仕上釘 | 15・20・25・30・35・40・45・50・55 |
重量 | 1.2kg |
その他 | ・腰掛用の可変ロングフック ・打ち込み深さ調整アジャスタ ・風量調整エアダスタ |
こちらは常圧タイプのスタンダードモデルです。基本的な機能は「HA-55SF2」と変わりません。
クラス最小6mm幅のノーズが特徴で、巾木の溝のような細い箇所にも打ち込めます。
型式 | TA-255SF2(D) |
動力 | 常圧 |
対応仕上釘 | 15・20・25・30・40・45・50・55mm |
重量 | 1.3kg |
その他 | ・腰掛用の可変ロングフック ・打ち込み深さ調整アジャスタ |
10~25mmの仕上げ釘に対応したモデル。後方排気により快適に作業を行えます。
型式 | TA-225SF1 |
動力 | 常圧 |
対応仕上釘 | 10・15・20・25mm |
重量 | 1.0kg |
その他 | ・打ち込み深さ調整アジャスタ |
35mmまでの仕上げ釘に対応したライトユースモデルです。手頃な価格でDIYにも最適。
回り縁や棚の取り付け作業などで活躍します。
型式 | TA-235FN3 |
動力 | 常圧 |
対応仕上釘 | 15・20・25・30・35mm |
重量 | 1.0kg |
その他 | ・単発打ち・連続打ち切り替えトリガ ・握りやすいグリップカバー |
35mmまでの仕上げ釘に対応できる型枠用フィニッシュネイラです。
面木を打つときでもズレないように、先端が尖った形状になっています。重量わずか0.8kgのコンパクトボディも魅力のひとつです。
型式 | TA-235FN2 |
動力 | 常圧 |
対応仕上釘 | 15・20・25・30・35mm |
重量 | 0.8kg |
その他 | ・腰掛用の可変ロングフック ・360°の可変排気 |
【充電式】
業界初・充電式フィニッシュネイラの進化機です。反動吸収機構を搭載し、軽快な打ち込みが可能になりました。
バッテリーは5.0Ahと2.5Ahの2種類から選べます。
型式 | TJ-35FN2-BC |
動力 | 18Vバッテリー |
対応仕上釘 | 15・20・25・30・35mm |
重量 | 2.2kg |
その他 | ・反動吸収機構 ・打ち込み量調整アジャスタ ・LEDライト機能 |
同じ充電式フィニッシュネイラの型枠専用モデルです。先端形状が工夫されており、面木の斜面でも安定した打ち込みができます。
型式 | TJ-35FN2FW-BC |
動力 | 18Vバッテリー |
対応仕上釘 | 15・20・25・30・35mm |
重量 | 2.2kg |
その他 | ・反動吸収機構 ・打ち込み量調整アジャスタ ・LEDライト機能 |
マキタ
総合工具メーカーとしては国内最大手の存在です。エア工具はもちろん、他の電動工具で培ったノウハウを活かし、高品質の充電式フィニッシュネイラを開発しました。
【エア式】
スタンダードな高圧フィニッシュネイラです。
部材に軽く触れただけで打ち込める「スマートタッチ」機構を搭載。疲労が軽減される上に、仕上がり品質の向上も見込まれます。
型式 | AF552H |
動力 | 高圧 |
対応仕上釘 | 仕上げ釘:15・20・25・30・35・40・45・50・55mm 超仕上げ釘:15・20・25・30・35・40・45・50mm |
重量 | 1.2kg |
その他 | ・スマートタッチ機構 ・風量調節ができるエアダスタ ・打ち込み量調整ダイヤル |
上記「AF552H」の前モデルです。スマートタッチ機構は搭載されていませんが、エアダスタや打ち込み量調整ダイヤルなどの基本機能は変わりません。
型式 | AF551H/HM |
動力 | 高圧 |
対応仕上釘 | 仕上げ:15・20・25・30・35・40・45・50・55mm 超仕上げ釘:15・20・25・30・35・40・45・50mm |
重量 | 1.2kg |
その他 | ・打ち込み量調整ダイヤル |
【充電式】
マキタ渾身の充電式フィニッシュネイラです。エア式とほとんど変わらぬパワーで、40mmまでの仕上げ釘を打ち込みます。
コンパクトなボディで扱いやすい上に、厚さ4mmの薄型ノーズで安定した作業を行えます。
型式 | FN001GRD |
動力 | 40Vmax(36V) |
対応仕上釘 | 15・20・25・30・35・40mm |
重量 | 2.5kg |
その他 | ・低反動機構 ・打ち込み量調節アジャスタ ・LEDライト搭載 ・防塵防水IP56 |
ハイコーキ(HiKOKI)
マキタとともに、国内最大手に数え上げられるメーカーです。電動工具に強いマキタに対し、ハイコーキはエア工具の分野でも一定の人気を誇ります。
【エア式】
高圧タイプのフィニッシュネイラです。4mm幅のスリムなノーズで美しい仕上がりに。
独自のスマートプッシュ機構により、打ち込む場所が確認しやすくなっています。
型式 | NT55HM2 |
動力 | 高圧 |
対応仕上釘 | 仕上釘:15・20・25・30・35・40・45・50mm 超仕上釘:15・20・25・30・35・40・45・50mm |
重量 | 1.2kg |
その他 | ・スマートプッシュ機構 ・打ち込み量調整アジャスタ ・回転式フック |
こちらは常圧タイプのフィニッシュネイラです。基本スペックは「NT55HM2」とほとんど変わりません。
型式 | NT55M2 |
動力 | 常圧 |
対応仕上釘 | 仕上釘:15・20・25・30・35・40・45・50mm 超仕上釘:15・20・25・30・35・40・45・50mm |
重量 | 1.3kg |
その他 | ・スマートプッシュ機構 ・打ち込み量調整アジャスタ ・回転式フック |
【充電式】
36Vバッテリーを使用した充電式モデルです。超強力スプリングを採用し、40mm釘でも苦にならないパワーを実現しました。
内装の下地や型枠の面目留めなど、幅広い用途に使用できます。
型式 | NT3640DA |
動力 | 36Vバッテリー |
対応仕上釘 | 仕上釘:15・20・25・30・35・40mm |
重量 | 2.5kg(バッテリー含む) |
その他 | ・スマートプッシュ機構 ・36Vマルチボルトシリーズ ・LEDライト搭載 |
まとめ
今回はフィニッシュネイラ(仕上げ釘打機)を紹介しました。
仕上げ釘は見た目に直結する部分なので、できるだけ品質の高い工具を使用したいですよね。
本記事を参考に、じっくりと検討してみてください。
なお、中古工具専門店「アクトツール」では、各メーカーのフィニッシュネイラを取り扱っています。
できるだけコストを抑えたい方や、長く使える良品を探したい方は、アクトツールのオンラインショップで在庫をご確認ください。