新ダイワ工業(やまびこ)ってどんなメーカー?
- サルトくん
2021.05.24 2022.10.02
皆さんは「新ダイワ」というブランドを知っていますか?
主に農業や林業、建設業の機械を手がけているメーカーなので、ホームセンターなどで直接目にする機会は少ないかもしれません。
その歴史は長く、戦後の復興期から21世紀の現在に至るまで、日本の産業を陰に陽に支えてきました。
今回は、この新ダイワ工業株式会社(現:株式会社やまびこ)の歴史や製品の特徴を解説します。少しでも興味を持った方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
新ダイワ工業(やまびこ)って何の会社?
新ダイワ工業は、主に小型屋外作業機械を扱ってきたブランドです。
小型屋外作業機械とは、簡単にいえばエンジンを用いた機械で、人が持ち運べるサイズのもの。たとえば以下のような製品を指します。
- チェーンソー
- 刈払機(草刈機)
- ブロワー
また、あわせて工場で用いる一般産業用機械も扱っています。こちらも代表的な製品を挙げてみましょう。
- 溶接機
- 発電機
- エンジンカッター
ちなみに、同ブランドはかつて「新ダイワ工業株式会社」として製造・販売を行っていました。
しかし、この新ダイワ工業株式会社は2009年に吸収合併。現在の「新ダイワ」ブランドは「株式会社やまびこ」傘下で存続しています。
新ダイワ工業(やまびこ)の会社情報は?
ここからは、新ダイワ工業の歴史や会社情報を解説します。
新ダイワ工業株式会社の成り立ち
新ダイワ工業の起こりは、戦後の復興期にまで遡ります。前身となったのは、1952年に広島で創業された浅本精機製作所です。
当初は映写機やオートバイ部品などを手がける工場でしたが、1955年に国産初となる電動チェーンソーの製造に乗り出します。これが大きな転換点となりました。
1962年、浅本精機は販売会社「新ダイワ工業」を設立し、全国に販路を広げます。
その後は高度経済成長期を通して、チェーンソーや溶接機の製造に注力。日本経済の発展とともに経営を拡大させます。
また、同時に海外展開にも乗り出し、「Shindaiwa」ブランドを世界に広げていくのでした。
経営統合により株式会社やまびこへ
2007年、「新ダイワ工業株式会社」は、同じく産業機械を手がける「共立株式会社」と業務・資本提携を結びます。
両社は持株会社「株式会社やまびこ」を設立し、2008年に経営統合。こうして「新ダイワ」ブランドは、株式会社やまびこへと引き継がれました。
2021年現在、株式会社やまびこは世界に28,000店の販売ネットワークを有しており、90か国以上で製品が使用されています。
また、近年はアジア市場の開拓を狙い、2014年にはベトナム、2017年には中国江蘇省に関連会社を設立しました。
今後はこれらの国々を拠点に、さらなる成長が期待されています。
「共立」ブランドとの違い
現在、株式会社やまびこが手がける事業は3つ。
- 小型屋外作業機械(チェーンソー、刈払機など)
- 一般産業用機械(溶接機、カッターなど)
- 農業用管理機械(薬剤噴霧機など)
このうち、「新ダイワ」(Shindaiwa)ブランドが担うのは、小型屋外作業機械と一般産業用機械の2分野です。
なお、同じやまびこ傘下の「共立」(Kioritz)も、やはりチェーンソーなどの小型屋外作業機械を販売しています。
ただし、「新ダイワ」がグローバルブランドであるのに対して、「共立」は国内向けブランド。実際、いくつかの製品はロゴやカラーが異なるだけで、スペック自体は新ダイワと同一です。
1,000億円超の売上高
株式会社やまびこは、2008年の設立より右肩上がりの成長を続け、2014年には売上高1,000億円を突破しました。2020年の最終売上高は1,319億円超となっています(IR資料より)。
なお、この売上高の約6割は海外市場が占めています。特にアメリカでは、住宅の広い敷地に芝生や庭木を植えることが多く、刈払機には高い需要があります。
売上高1,000億円という数字は、日本よりもはるかに大きいマーケットで、主力事業が成功を収めた結果といえるでしょう。
企業情報(2021年5月現在) | |
商号 | 株式会社やまびこ |
本社所在地 | 東京都青梅市末広町1-7-2 |
設立年月日 | 2008年12月1日 |
代表取締役会長 | 永尾慶昭 |
代表取締役社長執行役員 | 久保浩 |
電話番号 | 0120-176-181(受付時間9:00~17:00) |
公式ホームページ | http://www.yamabiko-corp.co.jp/ |
新ダイワ工業(やまびこ)の主要商材は?
ここからは、新ダイワ工業の主力製品やサービスを見ていきましょう。
チェーンソー
新ダイワ工業の歴史は、チェーンソーとともにあるといっても過言ではありません。
戦後期に欧米から輸入されたチェーンソーは、日本人には扱いづらいサイズでした。そこで日本人の体格に合った製品として、小型で軽量の国産チェーンソーが開発されたのです。
その理念は今も変わらず、新ダイワの製品はパワフルな切断能力でありながら、スリムで扱いやすい筐体を特徴しています。
最新モデル「E3073DP」では、国産初となる6流掃気シリンダを導入し、類まれなるハイパワーを実現。また、新開発の防振機構を搭載するなど、安全や健康にも配慮されています。
刈払機(草刈機)
もうひとつの主力製品が刈払機(草刈機)です。1978年に自社製エンジン搭載のモデルを開発して以来、新ダイワ工業は刈払機に注力してきました。
現行の「RA3021」は、軽量化をコンセプトに掲げた草刈機。一般的な2サイクルエンジンの製品が4kg以上ある中、この「RA3021」の重量は3.6kgと、圧倒的な軽さを誇ります。
バンドソー
新ダイワはエンジンカッターやバンドソーなどの産業機械も得意としており、今後はこの分野においても海外展開が強化される見込みです。
最新バンドソー「RB180FV」は、切断寸法180mmクラスとしては随一の性能を誇るモデル。そのパワーは、200×100mmのH鋼も一気に切断できるほどです。
また、切断荷重の調整に旧来のスプリング方式ではなく、オイルシリンダー方式を採用した点も特徴です。微妙な荷重調整によって切断の精度が上がり、のこ刃の寿命も延ばせます。
溶接機
ディーゼルエンジン溶接機「HDW310M」は、次世代の「ワンダスティック溶接」を掲げたモデル。母材に溶接棒が触れた途端にアークが発生し、すぐさま溶接を行えます。
アイドルストップ状態からでも瞬時に立ち上がるため、作業効率の向上が図れるでしょう。
さらに、従来比で燃料を60%節約する低燃費性能と、わずか55デシベルの低騒音性能を実現。環境に配慮した製品となっています。
発電機
新ダイワの発電機には、業務用だけでなく、ホームセンターで購入できるものもあります。
インバータ発電機「IEG1800M-Y」は、扱いやすい機能性と手軽さが魅力。非常用電源からDIY、アウトドアなどマルチな目的で活躍します。
本体は25kgと軽量ながら、発電出力は1,800Wをカバー。複数機器をつなげても支障をきたしません。
さらに、約1分間エンジンの回転数を上げる「ブースト」機能により、コンプレッサーなど起動電力の大きい機器も扱えます。
品質・環境ISO
新ダイワ工業は、自社一貫生産システムの中で、徹底した品質管理を施してきました。
国際的な品質管理の規格としては、ISO9000が広く知られています。新ダイワ工業は、このISO9000を業界の先駆けとして1994年に取得。以降も更新を続けています。
まとめ
今回は作業機械ブランド「新ダイワ工業」(株式会社やまびこ)を紹介しました。
広島の小さな工場から始まり、いまや世界的なブランドにまで成長を遂げた「新ダイワ」(Shindaiwa)。今後も最先端の技術によって、世界の農林業に貢献していくでしょう。
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