【工具屋解説】溶接棒の種類と選び方!使い分けのポイントは?
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- サルトくん 町田店
2019.09.22 2026.03.30
溶接の品質を大きく左右するのが、溶接棒の選び方です。
溶接棒にはさまざまな種類があり、「何を選べばいいのか分からない」「型番の違いが理解できない」といった悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。
実際、溶接棒は「被覆の種類」「母材」「太さ」によって適したものが大きく異なり、選び方を間違えると溶接不良や強度不足につながることもあります!
本記事では、溶接棒の基礎知識から種類ごとの特徴、失敗しない選び方のポイントまでをわかりやすく解説します。
初心者の方から現場で使う方まで、適切な1本を選ぶための参考にしてください。
目次
そもそも溶接棒とは?被覆アーク溶接の基本をおさらい
溶接棒(被覆アーク溶接棒)は、「心線」と「被覆剤(フラックス)」で構成された溶接材料です。
心線は溶けて溶接金属となり、被覆剤は溶融時にガスやスラグを発生させて、溶接部を大気から保護する役割を担います。
これにより、酸化や不純物の混入を防ぎ、安定した溶接品質を実現できます。
心線のみでの溶接は難易度が高く、仕上がりも不安定になりやすいため、被覆剤の存在が品質を大きく左右します!
また、被覆アーク溶接は大掛かりな設備を必要とせず、幅広い現場で使用できる汎用性の高い溶接方法です。
なお、溶接棒は「被覆剤の種類」によって性能や適した用途が大きく変わるため、用途に応じて選ぶ必要があります。
(引用:ぼうだより 技術がいど)
被覆材の系統別!アーク溶接棒の種類と得意な用途一覧
被覆アーク溶接棒は、被覆剤(フラックス)の種類によって性能や適した用途が大きく異なります。
「イルミナイト系」「ライムチタニヤ系」「高酸化チタン系」「低水素系」の4種類に分類され、それぞれアークの安定性や仕上がり、強度特性に違いがあります。
| 被覆剤の種類 | 特徴(概要) | 得意な用途 | 代表銘柄 |
|---|---|---|---|
| イルミナイト系 | アークが強く安定し、扱いやすい万能タイプ | 一般構造物・作業全般・技量試験 | B-10(神戸製鋼) B-14(神戸製鋼) B-17(神戸製鋼) G-200(日鐵住金) G-300(日鐵住金) A-200(日鐵住金) |
| ライムチタニヤ系 | アークが穏やかでスラグの流動性が良く、操作性に優れる | 薄板・初心者向け・幅広い用途 | Z-44(神戸製鋼) NS-03T(日鐵住金) NS-03Hi(日鐵住金) LC-3(ニツコー熔材) LC-6(ニツコー熔材) |
| 高酸化チタン系 | アーク安定性が高く、ビード外観がきれいに仕上がる | 外観重視の溶接・板金・仕上げ用途 | B-33(神戸製鋼) RB-26(神戸製鋼) S-13Z(日鐵住金) SK-100(ニツコー熔材) |
| 低水素系 | 水素を抑えて溶接欠陥を防ぐが、操作難易度は高い | 厚板・高強度鋼・重要構造物 | LB-26(神戸製鋼) LB-47(神戸製鋼) LB-52(神戸製鋼) S-16(日鉄住金) |
なお、上記の代表銘柄は、工具専門店であるアクトツールの売れ行きをもとにした定番モデルです。
用途や作業内容に応じて選ぶ際の参考にしてみてください。
イルミナイト系
日本で最もポピュラーな溶接棒で、全姿勢に対応できる扱いやすさが特徴です!
アークが強く溶け込みが深いため、作業効率と仕上がりのバランスに優れ、初心者からプロまで幅広く使用されています。
一般構造物や日常的な溶接作業に適した万能タイプです。
例:B-10/B-14/B-17
代表的な銘柄としては、B-10・B-14・B-17などが挙げられます。
B-10はスラグの被りが安定し、美しいビードが得られる定番モデルです。
B-14はスラグの流れやビードの伸びが良く、操作性と外観品質にも優れています!
B-17は耐割れ性やX線性能に優れ、厚板にも対応できる高性能モデルです。
アクトツールでも、Bシリーズは特に高い人気を誇ります。
ライムチタニヤ系
イルミナイト系に近い操作性を持ちながら、機械的性質に優れているのが特徴です。
アークが穏やかでスラグの流動性が良く、安定した溶接がしやすいため、薄板から中板まで幅広い用途に対応できます!
扱いやすさと性能のバランスが良く、初心者にも適した系統です。
例:Z-44
代表銘柄のZ-44は、国内でも非常に高いシェアを持つ定番モデルです。
再アーク性に優れ、ビードの伸びも良好で、安定した仕上がりが得られます。
低ヒュームで作業環境にも配慮されており、3.2mmや4.0mmといったサイズが多く使用されています。
高酸化チタン系
アークの安定性が高く、ビード外観が美しく仕上がるのが特徴です。
スパッタが少なくスラグの被りや剥離性にも優れているため、仕上がりを重視する溶接に適しています。
特に薄板や外装部など、見た目が求められる場面で使用されます。
例:B-33
代表的な銘柄であるB-33は、薄板の肉盛や仕上げ用途に適したいわゆる「化粧棒」として使われることが多いモデルです。
使用頻度は高くないものの、用途が合えば非常にきれいなビードを形成できます。
低水素系
溶接金属中の水素量を抑えることで、割れや欠陥の発生を防ぐ高性能な溶接棒です。
強度や耐割れ性に優れており、厚板や高張力鋼、重要構造物の溶接に適しています。
一方で、アークの扱いが難しく、他の系統に比べて作業難易度は高めです。
例:LB-47/LB-52
代表銘柄のLB-47は、造船・建築・橋梁・圧力容器などの分野で広く使用されており、JIS検定用としても採用されることが多いモデルです。
LB-52は高張力鋼にも対応できる全姿勢用で、アークの集中性やスラグ剥離性、ビード外観に優れています。
アーク溶接棒の選び方は?使い分けで注目すべき2つのポイント
溶接棒を選ぶ際は下記2点を把握しながら、溶接環境を鑑みて被覆タイプなどで絞り込んでください!
1.母材(溶接する金属)の材質・板厚に合わせる
2.使用する溶接機の能力と溶接する板厚に合わせて棒の太さを決める
溶接棒が細いと何度も溶接する必要があります。
逆に太すぎると熱を加える時間が長くなり母材が溶けて穴が開くなどの問題が出てきてしまいます。
「大は小を兼ねる」ということにはならないので、機械と母材に合わせた最適な太さのものを選んで使いましょう!
1. 母材の種類
溶接棒は「何を溶接するか(母材)」によって選定が大きく変わります。
母材に合わない溶接棒を使用すると、強度不足や割れ、溶接不良の原因になるため注意が必要です!
ここでは代表的な母材ごとに、適した溶接棒の種類を紹介します。
軟鋼用低電圧溶接棒
薄い軟鋼板の溶接に適したタイプで、家庭用100V電源でも使用できるのが特徴です!
アークが安定しやすく、全姿勢に対応できるため、DIY用途にも向いています。
手軽に使える反面、厚板や高強度が求められる用途には不向きです。
一般軟鋼用溶接棒
薄板から厚板まで幅広く対応できる、最も汎用性の高い溶接棒です。
ビードの伸びが良く、再アーク性にも優れているため、作業性が高く安定した仕上がりが得られます!
現場作業から一般用途まで幅広く使われる、いわゆる標準的な軟鋼用溶接棒です。
ステンレス用溶接棒
ステンレス鋼の溶接に使用する専用の溶接棒です。
ステンレス同士か、異種金属(鉄など)との接合かによって適した銘柄が異なるため、用途に応じた選定が重要です!
ステンレスは熱がこもりやすく、歪みや焼けが発生しやすいため、適切な溶接条件と技術が求められます。
溶接材料により、溶接棒を以下のように変更してください。
- ステンレス同士:神戸製鋼のNC-38
- ステンレスと鉄:神戸製鋼のNC-39
鋳物用溶接棒
鋳鉄などの補修・溶接に使用される専用の溶接棒です。
鋳物は割れやすく、通常の溶接棒では対応できないため、専用の溶接材料を使用する必要があります。
基本的には下向溶接で使用されることが多く、事前の予熱や適切な施工手順も重要です!
(例)鋳物用 神戸製鋼 CI-A3 など
2. 溶接棒の太さと適性電流
溶接棒の太さ(径)は、母材の板厚に応じて選ぶのが基本です。
目安としては、母材の板厚の約1/2程度の太さが適切とされています。
また、溶接棒は太くなるほど必要な電流(電圧)も大きくなります。
太さに対して電流が合っていないと、溶接品質に大きく影響するため注意が必要です。
【FAQ】溶接棒の種類に関するよくある質問
初心者が最初に買うべき溶接棒は?
迷ったらイルミナイト系のφ3.2mmを選べば間違いありません。
代表例として神戸製鋼のZERODE-44などが定番です。
全姿勢に対応できて扱いやすく、入手もしやすいため、初心者でも安定した溶接ができます!
クセが少なく失敗しにくいため、最初の1本としておすすめです。
B-10とB-14、B-17の違いは?
扱いやすさ重視ならB-14、バランス型がB-10、高性能・厚板向けがB-17です。
B-10は溶け込みが深く万能型、B-14は作業性と外観の美しさに優れています!
B-17は耐割れ性やX線性能が高く、厚板や品質重視の現場で使われます。
溶接棒や溶接機はどこで買える?
ホームセンター・通販・専門店で購入可能です。
手軽さならホームセンターやECサイト、品揃えや専門性を重視するなら工具専門店が適しています。
なお、中古の溶接機や関連工具をコストを抑えて揃えたい場合は、アクトツールのような専門店を活用するのも1つの方法です。
アクトツールは電動工具や溶接機の買取・販売を行う専門店で、プロ向けからDIY用途まで幅広い製品を取り扱っており、中古でも状態の良いものを選ぶことができます。
まとめ:溶接棒は「系統×母材×太さ」の3軸で選ぼう
溶接棒は、「なんとなく」で選ぶと失敗しやすい工具のひとつです。
下記3つの観点から選びましょう。
- 被覆の種類(イルミナイト系・低水素系など)
- 母材の種類(軟鋼・ステンレス・鋳物など)
- 溶接棒の太さ(板厚と電流に適合しているか)
また、溶接作業では溶接棒だけでなく、溶接機や関連工具の状態も仕上がりに大きく影響します!
買い替えや導入を検討している場合は、コストを抑えつつ品質の良い工具を選ぶことも重要です。
アクトツールでは、溶接機や電動工具の買取・販売を専門に行っており、中古でも状態の良い製品が揃っています。
不要になった工具の売却や、コストを抑えて溶接機を導入する手段としてぜひ利用してみてください!












